TA 2011 S を使用したマイクコンプレッサー 

技適認証試験項目「占有周波数帯幅」の基準値、搬送波ピークレベルより上下、第5側帯波のレベルが−25dBm以上低い事。       
認証試験項目中、一番やっかいだと思われる試験項目です。
認証試験時、マイク入力される信号レベルは1.25KHzシングルトーンを入力して変調度60%になった値より更に10dB高いレベルで
マイク入力されます。  これは通常の音声入力では大声で、怒鳴り散らかす感じです。
その様なマイク入力があった場合、変調度は軽く100%を超えると共に、側帯波レベルも急上昇します。
側帯波レベルが上昇すると言う事は、一般的に言うところの「サイドの被りが酷くなる」「横方向に大きく広がる」状態。

無線機のマイクアンプ部に何も対策を施さなかった場合、第5側帯波のレベルが基準値を超えてしまう可能性が十分にあります。
そうならない為には、大きなマイク入力が入っても変調度が100%を超えない様に対策してやればよい事になります。
そうすれば、第5側帯波のレベルは認証試験基準値以内(−25dBm以下)に必ず収まります。

考えられる対策は出力上限リミットを持つマイクアンプを組み込めばよい事になります。
先に製作したLM358Mを使用したマイクアンプは今ひとつの性能でしたが、
今回製作したTA2011Sを使用したマイクアンプ(マイクコンプレッサー)は素晴らしい特性を示してくれました。
製作に必要な部品点数も少なく、簡単に製作出来ます。
基板サイズも小さく、回路内2箇所のVRで殆どの市民ラジオへの対応が出来、内蔵可能だと考えています。


上の回路図が今回製作したマイクコンプレッサーです。
TA2011S、6piよりグランドされている100kΩ半固定VRの調整で
リリースタイム(どの位の時間で圧縮)をやめるかの調整が出来ます。
10kΩ半固定VRは音声IC upc575c2への入力調整になります。

ICB-770、変調度60%時の音声IC、upc575c2への入力レベルが約−27.9dB
認証試験同様、更にマイク入力10dB上昇させた時のupc575c2への入力レベルは約−18.0dB。(変調度100%軽くオーバー)
と言う事はTA2011Sからの出力が、いくら大きな入力があっても−18.0dBより以下になる様調整してやればよい事になります。

ICB−770への取り付け箇所は、元々のマイクアンプ出力をTA2011Sの入力(3pi)へ
TA2011Sの出力は音声IC upc575c2の入力へ接続するかたち。
ICB−770基盤上で言えばR39(1.5kΩ)を取り去り、その部分にTA2011Sマイクコンプレッサーの入出力を接続するだけです。
各、半固定VRの調整ですが
100kΩの調整が要になります。
単信号(1.25KHz入力)のみの調整ではなく
実音声でも単信号と同様にリミットがかかる様、このVRでシッカリ調整してから出力側の10kΩを調整し音声最大入力時、変調度が100%になる様、調整すればOKです。

最終的な調整はスペアナを見ながらになりますが、送信時レベルメーターとして機能するSメーターの動きが設定した箇所より上がらなくなくなる筈です。。
あれだけビンビン張り付く様に動いていたレベルメーターにブレーキがかかった様になり、音声IC upc575c2へは設定した上限値以下の入力しかされていない事が分かります。
TA2011Sの利得は大きく、ささやく様な音声でも十分増幅しますから大声を出さなくても十分変調が掛かるという事です。

実際、770に取り付けてテストをやりましたが、送信時の変調音は大変良く十分納得いく感じです。
コンプレッサーが、いかにも効いていると言う感じではなく全体的に太い感じになっています。
語尾により変調の掛かりにくい「い」「う」なども利得があるので十分変調が掛かるようです。
フィールドテストは出来ませんが、ノイズすれすれの信号強度で聞こえるか聞こえないかの場合、威力が出てきそうです。
テスト風景の動画は下記をクリックして下さい。

穴あき基板にパーツを取り付けた様子    

基板裏側。  アース部分で周りを囲む様に部品配列
無用な回り込みを防ぐ意味があります。

◆ オッシレータを使用したテスト 

◆ 実際の音声テスト  

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