SONY ICB-770 Kai 技術基準適合認証適合機の製作 



電解コンデンサは経年劣化が考えられる為、容量抜けのあるなし関係なく、全19個新品へ交換します。
音声IC upc575c2も新品交換。受信ラインFET/Trは全て別物へ交換します。
高周波増幅FETは2SK23A→2SK161GRへ、IF段はC1923&C1390混合へ。
各OSC TrはC1674へ。 送信ラインは前段よりC1674→C2086→C2314へ交換。

各局発xtalはトリマ&セラミックコンデンサにより技適基準値へ校正。

送信出力は搬送波で0.5w(27dBm)へ調整(個体により若干の差は出ますが極力0.5wに合わせます)

受信調整はFET/Tr交換後、SSGにてコア調整。

PTTスライドスイッチはメイン基板より取り外し、内部接点を磨いた後「Deoxit D100L」塗布した後、組み直し。

VRガリ取りは「Deoxit D100L」塗布。

ローディング調整は、無線機組み立て状態にて送信。簡易強度計を使用して最大になるようコア調整。

細かいところはありますが、メンテナンスはこんなところです。





§ローパスフィルター(LPF)追加

LPFを組み込む事で認証試験項目「スプリアス&不要発射」を抑制する事が出来ます。
チェビシェフ型9次、カットオフ周波数29Mhzで設計したものを内蔵しました。
手巻き空芯コイル4個とディップマイカコンデンサを使用した物で、銅板でシールドしています。
770への内蔵箇所は送信ライン、ファイナル直後へ組み込みました。


§バンドパスフィルター(BPF)追加

認証試験項目「副次的に発する電波の強度」を抑制する効果があります。
6月、580で技適取得した時に使用したチェビシェフ型BPFとは違い、今回はFCZコイルを使用したBPFです。
これは短時間で製作出来る割に減衰特性は素晴らしい事、サイズが小さく内蔵が楽な事が主な理由です。


§マイクコンプレッサー追加

認証試験項目「占有周波数帯幅」の基準値を満たす為に必要なアイテムです。
認証試験項目の内最大の難関であった「占有周波数帯幅」の基準値
(搬送波のピークより上下第5側帯波〜第10側帯波のピークレベルが−25dB以下である事)
これをクリアーする為には「変調度が100%を越えないようにする事」でクリアーさせる事が出来ます。
これまでメーカーで製造されている市民ラジオでは、送信時マイクへ向かって大声で話した場合など(ついついなりがちですよね)
変調度は軽く100%を越えてしまい、波形は歪み周波数帯幅が大きく横へ広がった、俗に言う「被りが酷い状態」になります。
これを抑える為にマイクアンプと音声増幅ICの間へコンプレッサー機能を持たせたアンプを組み込む事で
変調度100%を越える事は無くなりました。
いくら大声で怒鳴り散らかしても100%変調度です(^^v
ICB-770で送信時レベルメーターとして働くSメーターも、右端へバシバシ張り付くような事は無くなりますが
変調はシッカリ掛かる様になっています。
今回の認証試験でこの項目の数値は基準値−25dBを余裕でクリアーする−35dB以下という数字です。


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i以下、今回技適取得した770Kaiの内部写真、スペアナ測定画面です。



★☆★ ベース無線機  昭和54年製、SONY ICB-770 ★☆★


◇主な改良箇所◇

・基本的なメンテナンス
・ローパスフィルター追加
・バンドパスフィルター追加
・マイクコンプレッサー追加


§基本的なメンテナンス

・電解コンデンサ全交換
・IC、FET、Tr主要箇所交換
・周波数校正
・送受信調整
・PTTスライドスイッチOH
・VRガリ取り
・ローディング調整

ハッキリ写っているのはFCZコイルを使用したBPFと
9次チェビシェフ型LPFです。
ICB770は、これらのフィルター類を格納するスペースがあるので
改良に要する時間は比較的短時間で出来ます。

市民ラジオ4ch、27.080Mhz無変調時、近傍スペクトラムです。
ピークマーカーで分かる事は
周波数27.08015Mhz 
送信出力17.05dBm(外部ATT10dB有り)約0.51w
帯域外領域の基準値問題なし。

占有周波数帯幅の測定。
マイク入力、1250Hz、変調度60%になった入力よりプラス10dBアップの
送信波形です。
モニターで分かるのは搬送波ピークより、第5側帯波(上側)が-35.82dB低い事。
認証試験基準値−25dB以下を余裕でクリアーしている事が分かります。

これは770のマイクアンプ後に追加したマイクコンプレッサーが無ければ
この様な、綺麗な波形にはなりません。

占有周波数帯幅測定時と同じ状態で500Mhzまでの測定。
マーカー表示で2次高調波−37.14dBm(外部ATT10db有り)なので
実際には−27.14dBmで認証試験基準値の−13dBmをクリアーしている事が分かります。
それより上の高調波は全く問題ありません。
LPFによりシッカリ抑制されています。

受信時の副次的に発する電波の測定。基準値-4nw(−54dBm以下)
局発周波数16Mhz帯が−66.39dBmとマーカー表示されています。
その他の副次的に発する電波はいずれも−80dBm以下で全く問題ありません。

下記データ表は、認証試験時のテレックで測定されたデーター(4ch)です。
自宅でのスペアナ測定と、ほぼ同値であることが確認出来ました。
自分のやってる方法で間違えない事が、確認できたことになります。

770フレームに貼り付けられた技適シール。
ラベルは製造者  ISHIMARU、 型式名 ICB-770 kai 製造番号 0001

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