ICB770、技適対応化に必要な改良に関して

技適認証試験項目である待機時の漏れ電波の強度測定。 基準値は−54dBmです。      
これまで、認証試験をパスしてきた47機の市民ラジオ機は、この基準値をクリアーさせる為
内部にバンドパスフィルタを内蔵してきました。

今現在、お預かりしているICB770の技適対応化作業中に、新たな発見をしました。(^^v
ICB770に関しての記事なので多の機種に当てはまるかは?ですが
バンドパスフィルタは取り付けなくとも、認証試験基準値−54dBmは余裕でクリアーさせる事が出来ます。

結論から先に言えば、ICB770のメイン基板プリントパターンが「いい加減」であったから。..です。
待機時の漏れ電波の原因となる発生源は、局発(16MHZ帯の8波と 10.240MHZ)
あとはそのスプリアス成分。(写真参照)
認証試験時の測定は、ローディングコイル直前から、測定機(スペアナ)へ50Ωケーブルで接続し計測します。

今回試しに(何故そう言う事をしたかは不明)受信回路、フロントコイルに直付けして、どの程度漏れ電波が
出ているかを測定したのです。....その結果は!驚愕の数値!
技適基準値−54dBmは余裕でクリアーする数値!(殆ど無視出来るレベル)
「出てないじゃん」(笑)
しかしながらローディングコイル直前から計測した場合は技適基準値をクリアーさせる事は出来ない数値です。
「と言う事は、どこかで16MHZ帯と 10.240MHZが混入してる事に....」
考えられるのは、PTTスイッチからローディングコイル直前まで伸びてる基板パターン。
そのパターンをPTTスイッチ直後とローディングコイル直前でカットして、カットした部分の代替えに
同軸ケーブルを使用して、再度計測...その結果が...読み通りドンピシャ、ビンゴ! 

添付写真を見てもらうとお解りの様に局発16MHZ帯の頭が僅かに出ている程度
それも−81dBm程度の、超微弱電波です。
(写真では−91dBm程度ですが、10dBのアッテネータを噛ませていますから実測は−81dBmです)

目から鱗!
今まで絶対に必要だと思いこんでいたBPFは「必要無くても技適はクリアーさせる事が出来る」のです。
BPFの通過ロスが無くなる分、受信も良くなります。 やった\(^_^)/

更に、試験項目「占有周波数帯副の基準値」 これもマイクコンプレッサー「無し」でクリアー出来るかも知れません。
この試験項目は1.25KHzの音声入力で60%変調になった時点から、さらに10dB高い音声入力させた時の
第5側波帯のレベルが搬送波(キャリア)ピークより−25dBm以下であること...そういう試験です。

今までは「安全パイ」の意味合いからリミット付きマイクコンプレッサを取り付け、
どんなに大きな音声入力が入っても変調度が100%を越えない様にセットしていました。
ICB770ノーマル回路でも、技適レベルには、あまり余裕はないけれどクリアー出来るのは分かっていましたが
15機まとめての受験で「ひょっとしたら....」その事を考えるとリミット付きマイクコンプレッサを
取り付けざるを得ませんでしたが、何度試しても770ノーマル回路でも、技適レベルは越えないのです。

1.25KHzの音声入力で60%変調になった時点...これを、厳しい値、変調度70%越にしても
技適基準値はクリアーさせる事が出来ます。

この状態で合格させる事が出来れば、770本来の図太い変調は生かせる事になります。
今回は、この方向で受験する事を前提に作業を進めていきます。

各局様の負担額の軽減、770本来の図太い変調、作業時間の短縮....
出来れば良い事ずくめです(^^v

以下、添付写真は スペアナ測定時のモニター写真です。

車のマイナーチェンジと一緒で、初期バージョンと差が出てくるのはご了承頂きたく存じます。

 


左写真
770回路は純正のままで測定。
マーカー(三角印)は11MHZ(10.240)のレベルが−61.72dBm。
(外部ATT10dB装着なので実測−51.72dBm)
その他、スプリアス成分が多く出ている事が分かります。
この状態では技適は通りません。 不合格です。

左写真は、無線機電源OFF時の測定モニター。
何かしらのノイズを拾っていますが
マーカーが指している11MHZは−104dBmです。

PTT → ローディングコイル直近を上記説明通り
同軸ケーブルに置き換えて測定した結果。
マーカーは16MHZ帯ですが数値は−91.09dBm
実測値は−81.09dBm!!!
11MHZ(10.240MHZ)は姿すら見えません。